久田 カズオさん

Kazuo Hisada

デザインの世界で生きていく

私たちロジックが行う公開型社員研修「C.School」。
第6回のゲストプレゼンターは、豪華2本立てでお送りしました。

後半の出演者は、デザイナーの久田カズオさん。

元々ファッションデザイナーを目指していた久田さん。春夏・秋冬と年に2回、完成度の高いデザインを作り続けるファッションデザインという仕事。そのように延々と消費されていくデザインを作り続けるのは無理だと感じ、ファッションデザイナーの道を諦めたそうです。しかし、「デザインの世界で生きていく」という決意は消える事なく、30歳でシフトチェンジ。なんと大工として住宅をつくる道へ進みました。

「ファッションに比べて、日本の住宅デザインセンスは大きく遅れをとっている」。そう感じたことから、この業界なら戦えると感じた久田さんは、洋服をミシンで自ら縫うのと同じように、住宅を自ら作りだすべく、本を読み、道具を揃え、独学で経験を積んでいったそうです。

思い切って自費でマンションの一室を購入し、いよいよセルフリノベーションを決行。完成したモデルハウス兼自宅のオープンハウスは、大勢の見学者が訪れ大成功。

長く愛されるデザインの重要性

先のオープンハウス成功の後、リノベーションの受注を多く請けるようになった久田さん。今や一般社団法人 リノベーション住宅推進協議会関西部会長を務められ、リノベーション業界向けの住宅展示場の企画提案など、業界の発展に貢献する存在となられました。

こうして住宅業界を見ていく中で久田さんが感じられている課題が、日本の住宅の資産価値が年々下がってしまうこと。

その理由の一つが、「〇〇風」というデザインの存在。
先の大成功を収めたモデルハウスにおいて、当時流行っていた「バリ風」のデザインを取り入れ、5年後のブーム収束とともに時代遅れのデザインとなってしまったことから、自身でも流行のデザインを取り入れるデメリットを学ばれたそうです。

そして一番課題だと感じているのが、自分の家のデザインに愛着を持てる人が少ないこと。
そのために取り組まれているのが、「未完成住宅」という家です。家の完成度を90〜99%までで選び、そこからはお施主様と共に完成を目指すスタイル。お施主様も家づくりに参加することで自分らしい家になり、どれだけ傷が付いても愛着を持って住めるのではと考え、この住宅を企画されたそうです。

歳を重ねて顔に皺ができるように、長く使えば家にだって傷は増えていくもの。久田さんはそれらを、必ずしも隠すべきものではないと考えます。長く愛されているという美しい「印」でもあるのだから。久田さんは住宅をリノベーションする際、そのような美しい「印」を生かすよう意識されているそうです。

木の命を奪った話

一つ印象的だったのが、東京のホステル「Turn Table」を作るための木材を、自ら切りに行かれたお話。
徳島の神山町まで、はるばる杉を切りに行かれたそう。久田さんにとっても、木を切るのは初めての経験だったそうです。

少しづつ木に斧で傷を入れていき、最後に聞こえた木がちぎれる音を聞き、「80年生きた生き物の命を奪ったのだ」という神聖な想いになられたそうです。
イメージ映像を撮るための試みだったそうですが、その音を聞いて、一層大切にこの木を使わなければと感じたという久田さん。
素敵な話だなと、しみじみ聞いてしまいました。

Turn Table: http://turntable.jp/

一つでも多くの「宝石」を日本に

例えば、某有名スマートフォンが日本の印籠をモデルに作られているように、海外の人の方がむしろ日本のデザインの良さを評価している例は少なくありません。「日本人は、日本にある美しい宝石を捨て、砂利を敷いている。」海外の方は日本の住宅業界を見て、そのように感じているそうです。

日本にも美しい街並みはかつてありましたが、今はほとんど消えてしまいました。
久田さんは残り少ない日本の「宝石」を一つでも残しつつ、現代の日本人に合った住まいのデザインを追求されています。

リノベーションを通して、デザインを通して、日本の住宅業界をより良いものにする。
書ききれないほど様々な取り組みをご紹介いただきましたが、これからの活動にも期待を持たずにはいられない、素敵な講演でした。
久田さん、ありがとうございました。

さて、このC.Schoolは、熊本で働く他業種のみなんさんに多数ご参加いただき、ご好評いただいています。そして回を重ねるごとに学生さんの参加も増えてきているよう。質疑等で挙がるフレッシュな見解は、私たちもハッとさせられる場面があります。
今回のゲストは、バスケットボールチームの代表とリノベーション設計会社の代表という全く別の業界のお2人でしたが、地域に与えたい影響や、思い描くビジョンの中には重なる部分があり、とてもおもしろかったです。

 

この日のご共演頂いた湯ノ上聡さんのレポートはこちら
夢を持って頑張ろうと思える力強い講演でした!

 

毎回、スクールの様子はお伝えしていますが、テキストではお伝えできない会場の熱気や雰囲気などは、ぜひ体感いただきたいところ。
次回C.school第9回 出演者は・・・

 

●椿原ばっきーさん / PRディレクター、熊本クラフトコーラ 発起人
●田村祐一さん / 銭湯の革命家

 

こちらも面白い回になりそうです。
9/24(火)19:00から、予定を空けておいて下さいね!

 

 

多彩な講師陣と私たちロジックメンバーと一緒に、あなたも「働くを楽しむ」についてともに学んでみませんか。
ご予約お待ちしております。

久田カズオ/デザイナー
9株式会社 代表取締役 一般社団法人 リノベーション住宅推進協議会関西部会長
滋賀県出身、大阪モード学園卒業。ファッション業界に進むがその後一転して大工の道へ。2001年マンションの単独セルフリノベーションを皮切りに、「パンク・プリミティブ・ピュア」なデザインをコンセプトに15年間で300件以上のリノベーションや店舗設計デザイン、注文住宅設計に関わる。
9株式会社HP: https://www.ninedesign.jp/
Category:
Date: